【神威杏次インタビュー】by バルセロナ国際映画祭『スモーキー・アンド・ビター』【日本語翻訳版】

  

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 以下は、現地時間2021年4月22日。バルセロナ国際映画祭の公式ウェブメディア及びマガジン等に掲載されたインタビュー記事の日本語翻訳版です。 翻訳ソフトではニュアンスが伝わりにくい部分を若干の加筆を含めて修正済。

▼バルセロナ国際映画祭、公式web内の記事原文 ※英文

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神威杏次監督へのインタビュー。バルセロナ国際映画祭での、外国語長編映画『スモーキー・アンド・ビター』の傑出したパフォーマンス。

 

バイオグラフィ–神威杏次

 神威杏次は日本の俳優、映画監督、プロデューサー。 彼は1990年代から日本の多くの映画に出演しています。キョウジは、全盛期に突然引退しファンを驚かせたが、2018年に突然映画を作り始めた。 ほとんどすべてを自分で書き、監督し、撮影し、編集し、制作します。 独特の世界観を持ち、多くの日本の映画監督とは感覚が異なります。

Interview by Barcelona International Film Festival – Spain

 

 こんにちは、キョウジ!インタビューの機会に感謝します。バルセロナ国際映画祭での「傑出したパフォーマンス」心からおめでとうございます!

1.あなたは映画「SMOKY&BITTER」を書き、制作し、監督しました。映画はどのようにインスピレーションを受けましたか?

 まず『映画とは何か』の答えを、自分で作ろうと思いました。それは私の考えであり、正しいか間違っているかはわかりません。私が求める答えは日本の映画にはありません。自然に、子供の頃から見た多くのヨーロッパやアメリカの映画に触発され、そして「自分自身が見たい!と思う映画を作ろう。」と考えました。


2.最初に映画業界に携わった経緯を説明していただけますか?

   1990年、25歳の時に俳優として働き始めました。多くの映画やテレビドラマに出演する中で、プロの撮影現場で、100人以上の監督、カメラマン、プロデューサー、その他、さまざまな分野の制作スタッフの働き方を見て、自然と映画の作り方を学びました。


3.あなたに最も刺激を与えた監督は誰ですか?

 映画に描かれているテーマについてはアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥに強く共感します。 クリストファー・ノーランは、脚本の構成次第で映画を面白くできることを教えてくれました。同じ意味でガイ・リッチー。また、クエンティン・タランティーノから時系列を前後に動かす方法も学びました。それ以前はジャン=リュック・ゴダールとロマン・ポランスキー。ラース・フォン・トリアーの狂気も嫌いではありません。監督の名前を挙げていくとキリがありません。


4.ストーリーを作成するためのインスピレーションはどこから得ましたか?このスタイルの映画にあなたを惹きつけるものは何ですか?

 私は幼い頃からヨーロッパやアメリカの映画を見て育ちました。私たちは日本人ですが、西洋映画のような映画を作りたかったのです。この物語のアイデアは、古いカウボーイ映画に触発されました。そのような映画が私を惹きつける理由は、私自身の内にある郷愁、ノスタルジーです。

 

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5.「SMOKY&BITTER」を制作されました。映画の制作で一番楽しかったことは何ですか?何が難しく挑戦的でしたか?

 これはすべての監督が同じ気持ちだと思いますが、当初は自分の頭の中にしかなかったものが、信頼できる仲間との共同作業によって、どんどん形になっていくことです。それはとても楽しいです。

 挑戦的だったのは、専任のスタッフを配置せず、自分と俳優だけで現場をこなすことでした。その目的は、現場の進行を可能な限りスピードアップするため。技術スタッフにシーンの意図をいちいち説明する時間を省き、予算内で映画を完成させるために、自分の裁量だけで撮影を先へ進めることのできる形を作りました。クレイジーな試みだと思いますが、それでも面白い映画が作れると確信していました。


6.映画のオンラインストリーミングの時代は、映画製作業界にプラスまたはマイナスの影響を与えたと思いますか?

 それは、間違いなくマイナスだと思います。 『SMOKY&BITTER』は、日本のいくつかの映画館で公開されていますが、ブルーレイディスクでの上映もあれば、DCP上映もありました。DCPで自分の映画を見たとき、初めて「本物のSMOKY&BITTERを見た」と思いました。映画は、大画面で臨場感を楽しみながら、誰かと同じ空間を共有しながら観るべきだと思います。

 でも、映画祭の授賞式がオンラインで開催されることには賛成です。皆が長時間のフライトを経験せずに済むからです。

 

7.どのようにしてキャストを選びましたか?彼らと一緒に仕事をするのはこれが初めてでしたか?そのような才能のある俳優と仕事をするのはどうでしたか?

 私のキャスティング基準は、演技能力、存在感、そして人間性です。脚本を書く前に出演者を決めますが、過去に一緒に仕事をした俳優や舞台を見て演技力を確認した俳優に声をかけ、一緒にカフェに行って話をし、仕事に対する考え方や人間性を見させていただきます。そして、それぞれが持ち味を発揮できるような脚本を書きます。

 そうする理由は、撮影現場には演技の質を向上させる時間はあるものの、演技の基本を教える時間はないからです。すでに信頼関係にある仲間と協力することは非常に刺激的で効率的です。

 

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8.非常に広範で難しい質問のように思われるかもしれませんが、映画のアイデアの始まりから制作の段階まで、あなたの創造的なプロセスを大まかに概説できますか?

 私の制作プロセスは、断片的なシーンの想起から始まります。 「そんなシーンを撮りたい」という発想から、いくつかのシーンを作り、つなげていきます。映画の使命は、ストーリーを説明することではありません。その中で生きる、人間のイキザマや考え方を表現することです。監督が常に語るべきはアピールしたいテーマです。ストーリーについて考えるより優先して、シーンと会話のイメージを作ります。次に、映画のテーマを確定して登場人物に役割を割り当てます。

 要約すると、私が優先して考えるのは、映画のテーマと俳優の魅力を引き出す方法です。テーマが観客に響き、その中で生きる登場人物(俳優)が魅力的であれば、それだけで素晴らしい映画になるからです。


9.「SMOKY&BITTER」が伝えるメッセージは何ですか?

 「SMOKY&BITTER」は成功の物語ではありません。 主人公は人生で多くの過ちと後悔をし多くの傷を負って生きてきました。 そしてまた、当然のように失敗を繰り返すのです。それは私が考えるリアリティです。映画からのメッセージは「人生のリスタート」です。

 失敗したからといって人生がそこで終わるわけではありません。次の動きへのスタート地点が変わるだけです。

 「どんな状況でもあきらめないでください。どんな状況からでも人生をやり直すことができます。」 それが映画から伝えたいメッセージです。


10.次は何ですか? 現在、何に取り組んでいますか?

 2018年から年に1回のペースで映画を撮っています。 今年も新作を撮ります。 まだ脚本を書いていますが、夏に撮影して来年劇場公開することを目指しています。 来年、新作映画でバルセロナ国際映画祭に戻ってこれるように頑張ります。

ありがとうございました!

 

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