短編映画『アンナ-Anna-』(脚本・監督・撮影・編集/神威杏次)

短編映画『アンナ-Anna-』公式情報ぺージ

『愛とは求めるものではない、与えるものでもない。想うものだ。女の寝顔に一目惚れした殺し屋の、それはきっと…初恋のハードボイルド』

神威組2nd 『アンナ』

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基本データ

『アンナ -Anna-』

2018年 上映時間29分10秒

【脚本・監督・撮影・編集】神威杏次

【出演】平野尚美、萩田博之、坂本三成、丸山莉奈、福原龍彦、蜂谷英昭、神威杏次

【ロケ協力】中野コミュニティ広場 外苑前スタジオ

【エンディング曲】「Ad-Venture」(C)Nash Studio ,Inc

【制作】thanKS

【製作】神威杏次(TEAM KAMUI)

作品概要

 同年春に撮影された『マイ・ガール』に続く、神威杏次監督の短編第二作。同年秋のプレミア上映会での初上映から、翌2019年には大阪・シアターセブン、2020年には横浜シネマノヴェチェント…と、その後の神威杏次監督映画の公開時にたびたび特別上映されている。30分の短編ながら濃密で難解な脚本。『マイ・ガール』の痛快さと『アンナ-Anna-』の緻密さは、その後の神威映画の特徴を両極に分けたかのよう。

あらすじ

 閉店中のカフェバー。ソファーで目を覚ましたイズミ(平野尚美)は、知らない男に銃口を突き付けられていた。「きっと、追われてるのはアンナね。」「人違いってことか?」「かも。」

 殺し屋・ボギー(萩田博之)の前で、昨日からの出来事を話し始めるイズミ。

 あるマンションに空き巣に入ったアンナ(丸山莉奈)とイズミは、何者かにハメられマフィアから追われる身となっていた。逃亡の際、駐車場にいた運転手・中島(蜂谷英昭)を車のトランクに押し込み、絵描きの若者・裕也(福原龍彦)のアトリエに立て籠る。

 「お前ら、間違いなく殺されるぞ。」と軽口を叩いた中島をボコボコに殴り倒すアンナだったが、油断した隙に反撃され銃を奪われる。代わって場を仕切りだしたのは中島。

 しかし、イズミはなぜかそこで解放された。「どうしてお前だけ逃がされた?」「さぁ?」。

 『なにかあったらここで』アンナとの約束だった。果たしてアンナは無事なのか?イズミだけが解放された理由は?

 その時、二人の前にもうひとりの殺し屋・ミッキー(坂本三成)が現れ、私立探偵(神威杏次)から聞いたという「ことの真相」を語りだす。

予告編

 

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撮影エピソード

ギリギリ「短編」

 本編の尺は29分とちょっと。ギリギリ「短編」の部類に入るが、おそらく、鑑賞したイメージは「中編」に近い。「短編っぽいサクッとした鑑賞感」を目指した『マイ・ガール』に対して「長編っぽい充分な鑑賞感」を目指したのが本作。脚本も、長編を詰め詰めに凝縮した印象。

撮影日程

 撮影は2018年8月18日(土)と19日(日)の2日間。例によって、普通に脚本を読む限り、とても2日間で撮り終わりそうにない内容を、香盤表のほぼタイムスケジュール通りに進み終了した。

建物を燃やす?

 クライマックスで、ある建物を「燃やす」シーンがある。もちろん、本当の火は一切使わず、メラメラと燃えているような光を出すフレア・ライトを使って、炎の陰を俳優の背中に照射することで燃えているイメージを演出。

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オマージュいろいろ

 『パルプ・フィクション』のオマージュ・カットを複数、意識的にやっている。また、ヒロインの「ショートパンツ」と「ぬいぐるみ」のイメージは『レオン』のナタリー・ポートマン。ミッキー役の坂本三成は、坂本本人からのアイデアで『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のミッキー(ウディ・ハレルソン)に憧れている殺し屋…という設定になった。「殺し屋がハンバーガーを食べる」「SM拘束具で縛られたオジサン」等も『パルプ・フィクション』を意識した演出。さらには『家族ゲーム』の松田優作さんの「汚れた手を隣の人の服で拭く」仕草も。ヒロインの二人、アンナとイズミのキャスティングイメージは『アデル ブルーは熱い色』のアデル・エグザルコプロスとレア・セドゥーとのこと。

どんでんがえし×3回

 サスペンス調に進む本作には、実に3回のドンデンがえしがある。中盤に明かされる「ひとつめの真実」は、あえて早い段階で観客の予想がつくように作ってあるが、実はそれはミス・リード。ラスト4分でのふたつめの真実、さらにラスト1分に、さらなる(もうひとつの)真実が用意されている。ヒロイン・イズミの最後のセリフは絶対に聞き逃さないで頂きたい。

二回目が面白い?

 「ネタバレ後の二回目の鑑賞が一番面白い」。一度目ではわからない伏線や(当然ネタを知って芝居をしている)俳優たちの絶妙の演技は、二度目でしか味わえないからです。「なるほど、この芝居はこういうことだったのか」が満載。ご興味にある方はぜひ、鑑賞後に、後述の「ネタバレ解説」をどうぞ。

 

実は「男性目線の恋愛物語」

「ハードボイルドとは?」つまり「男のやせ我慢」と「自己犠牲」の物語。「マイ・ガール」とも共通するテーマですが、今回は「殺すはずの女の寝顔に一目ぼれした殺し屋(萩田博之)」の、実直で馬鹿な男の可愛さを描いています。惚れた以上、「なにがあっても味方でいること」「なにより彼女の幸せを望むこと」…なんて、やっぱりバカだな、男は…なんて。実はそんなお話。

 

▼完全ネタバレ解説(別ページ)。

 

 

 

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上映・公開データ(上映記録)

・2018年11月17日

秋葉原ハンドレッドスクエア倶楽部にてプレミア上映。

・2019年5月11日

アスクリエイツ映画祭にて上映。

・2019年9月8日

座・高円寺2「ハートボイルド・フィクション」プレミア上映会にて特別上映

・2019年9月14日~2020年9月頃

YouTubeにて断続的に無料公開。 

・2019年11月10日

大阪・シアターセブンにて「ハートボイルド・フィクション」とあわせて関西初上映。

・2020年11月1日

横浜・シネマノヴェチェントにて「ハートボイルド・フィクション」の劇場公開を記念した「神威杏次監督特集上映」にて特別上映。

・2022年2月26日

座・高円寺2「神威組大感謝祭」にて特別上映。

・2023年1月21日

座・高円寺2「神威組大感謝祭・2」にて特別上映。

撮影現場画像集

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