【神威組2020製作日誌】⑧劇場公開【不定期連載・最終回】

 「映画を撮るからには、劇場公開を実現させる。」神威組始動当時から、自分の中で密かに誓っていた必須目標でした。それができないなら辞めたほうがいい、くらいに。

 

 おかげさまで、横浜(シネマノヴェチェント)での先行公開から、大阪(十三シアターセブン)、東京(池袋シネマ・ロサ)と続いた劇場公開ツアーを無事に終えることができました。

 かえすがえす、どこかの映画祭で賞をとった前評判があるわけでもない、大手の配給会社がついていて宣伝や集客に期待ができるわけでもない、興業的にどう転ぶかわからないような映画を、限られた年間ラインナップに入れていただいたこと、各劇場さまのご英断に感謝致します。

 

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 劇場公開とは、つまり、大手製作の映画やハリウッドの大作と同じ土俵にあがるということです。それは「映画の題名や自分たちの名前を公式なデータベースに半永久的に残す」ことにもなるでしょう。

 さらに願わくば、10年後20年後、50年後にもどこかの名画座で上映され、映画ファンに語り継がれる…なんてことになれば本望です。さすがにそれは、まだまだ夢でしかありませんが。

 

 ただ、そんな夢の布石を打てたこと。出演してくれた俳優たちをメジャーの土俵にあげること。いくつかの目標は、現時点で達成することができました。神威組三年間の「ひとつの到達点」に違いありません。

 

 池袋シネマ・ロサ、DCP(※)による映画館上映…なんて、上映期間中、時折、夢を見ているような錯覚に陥りました。※DCP=「デジタル・シネマ・パッケージ」映画館で上映するための世界共通の規格。

 

 だからと、ただ浮かれていたわけではなく、それどころか各種プレッシャーに押しつぶされそうな日々でした。自分たちでハコを借りて主催する上映会ならどう転んでも誰にも迷惑はかけません。だから開き直れば済む。今思えば気楽なものです。でも、公開となるとそこがまったく異質なものになる。劇場の日程をいただき、劇場スタッフさんに多大な稼働もかけながら、そこで期待を裏切る結果になったら…「申し訳ない」気持ちで体調がおかしくなりそうでした、頭は最初からおかしいので関係ありません。

 

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 大阪ではコロナ第3波の襲来 東京は緊急事態宣言中の公開と、逆風が吹き荒れる中、なにより、足を運んで頂いたお客様、ずっと応援してている皆さま、本当に感謝致します。ありがとうございました。

 そしてあらためて、僕らの映画を推していただいた、シネマノヴェチェント箕輪さん、シアターセブン福住さん、シネマ・ロサ(ブラントン・フィルム)勝村さん。上映に向けてお世話になった各劇場のスタッフの皆さま、ありがとうございます。

 

 上映期間中、共に連日劇場通いとなった、萩田博之、蜂谷英昭、坂本三成、中川ミコ…の神威組コアメンバーに加え、複数日、顔を出していただいた、工藤さん、筒井さん、萩原さん、伴さん、加賀谷崇文くん、川島芽生くん…。各自の事情で劇場には来れなかったけど応援してくれた他のキャストも、みんなに感謝。

 

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 奇しくも、シネマ・ロサ公開に合わせたようなタイミングで、いくつか応募済の海外映画祭のうち、最も通知日が早かったロンドン国際映画祭から選出の通知が届いた。google翻訳ありがとう。「OFFICIAL SELECTION」「4部門ノミネート」…なんかニュースで聞いたことがある単語だ。突拍子すぎてまだ実感がない。

 
 夢の続きは、どうやらまだ終わらないようだ。

 仕方ない、砂時計をもう一回くらい引っくり返すか…。

 

【神威組2020製作日誌】終わり。

 

▼「神威組2020製作日誌①」